念願であったシングルコイルでのサスティナーの駆動を実現し、NA-TH-2に代わるシグネイチャーモデルとして登場したのがこのNA-TH-3だ。
ANKやNA-TH-4が製作された現在でもレコーディングやライブでの使用頻度が高く、20年近くに本田毅のプレイを支え続ける、本当の意味でのメインギターと言える存在である。
VERSUSの活動準備中の1993年にシースルーブラックとシースルーグリーンの2本が製作され、同年の楽器フェアで開催されたギタークリニックにて初披露された。
フロントにはNA-TH-2から大幅な進化を遂げ、フロントPUとしても使用可能なサスティナードライバーCD-100Fをマウント。センターとリアにはお馴染みのSCHECTER モンスタートーンをマウント。サスティナーの駆動の為にハムバッカーをマウントせざるを得なかったNA-TH-2とは違い、シングルコイルでのサスティナーの駆動を実現したのが最も大きな特徴である。シングルコイル対応のサスティナーの開発には自らもアドバイザーとして携わっている。
当初、サスティナーとPU以外の仕様は市販バージョンのNA-TH-2とほぼ共通な仕様で製作されたが、何度かのモデファイが施され現在に至る。
VERSUSの活動中にチューニングの安定の為にペグをSperzel・ロックペグに交換、ブリッジをローラーサドルと特殊構造を採用する事でチューニングの安定性を高めたGOTOH 510AT-1に交換している。また99年頃には1弦側のカッタウェイ部にプッシュする事でギターの音をミュートする2つの「ダイレクトミュートスイッチ」が追加された。これによりサスティナーで伸ばした音を断続的にミュートするトリッキーなスイッチング奏法が可能になった。このスイッチは後の本田毅モデルにも必ず付けられている。
約20年に渡る第一線での活躍を物語るようにボディーやネックは傷だらけだが、PUアッセンブリーやフレットを交換し、現在でも本田毅のプレイを支えている。
シースルーグリーンはバックアップギターとしてスタンバイする事が多く、公に姿を現すことは少なかったが、その姿はリットーミュージックから発売された教則ビデオ「Creative Guitar Play」で確認出来る。またGITANEの初期では半音下げチューニングの「Hello! Secret Works」等で使用された。
シースルグリーンもブラックと同様の改造が施され、さらにトーンへのリクエストからエボニーからフレイムメイプル指板に貼り替えが行われた。エボニー指板のイメージが強かっただけに公表当時はマニアの話題に登った。
その他にも氷室京介ツアーの際など、必要に応じて数本のサブギターが用意されたがメインの座を奪う事はなかった。
2007年にはNA-TH-4のスペックを盛り込み、新たにNA-TH-3 Ver.2として製作された1本が本人の手に渡って活躍している。
|