P-PROJECT NA-TH-2 TAKESHI HONDA MODEL

PERSONZのアルバム「PRECIOUS?」の頃からNA-TH-3が完成するまでメインを務めたギター。

このギターの誕生の起源を辿ると「DREAMERS ONLY」のニューヨーク・レコーディングに遡る。レコーディング中に盗難にあって しまったE-BOWを入手すべく立ち寄った楽器店。そこで出会ったHAMERのギターに搭載されたサスティニアックにインスパイアされ たことにより、SCHECTERに代わるNEWギターの製作がスタートする。

サスティニアックを搭載したギターを製作する上で、新たなパートナーとなったのはP-PROJECT(FERNANDES)。
当初、FERNANDES・オリジナルブリッジ「PIN EDGE TREMOLO」がマウントされた仕様などパーツや材質などを試行錯誤した複数本のプロトタイプが製作され、最終的にメインギターとなったのが画像のギターである。

ボディーサイズは一回りスマートになり、材質にはレスポールによく見られるメイプルトップ、マホガニーバックがチョイスされた。
最大の特徴はなんといっても無限に音を伸ばす事が可能なデバイス「サスティニアック(サスティナー)」が搭載されている点である 。サスティニアック駆動の為、センターとリアのシングルPUの間にはハムバッカーがマウントされ、ルックス的にも特徴的とな っている。
PUはフロントにPU状のサスティニアックトランスデューサー、センター&リアのシングルコイルにSCHECTERの MONSTER TONE、サスティナー駆動用のハムバッカーにSeymour DuncanのSH-4 JBを採用。サスティニアックはFERNANDESが開発したサスティナーが完成した時点で交換されている。

それまでSCHECTERを使用していた際には主に2つのシングルコイルPUのミックスポジション(ハーフトーン)でプレイしていたが、このギターを使用する際はサスティナーON時(自動的にハムバッカーに切り換わる)とOFF時の音色の落差をカバーする為、基本的にリアシングルとハム バッカーのミックスポジションでプレイしていた。これはサスティナーを効果的に使用する為の苦肉の策であり、後にシングルコイルPUでサスティナーが駆動するNA-TH-3が完成した事で解決する事になる。

ローカット・トーン、エボニー指板、段差 タイプのクルーソンタイプペグ、ブラックで統一されたパーツカラーなどはシェクターを踏襲している。ブリッジは最終的にオーソドックスな2点支持タイプのシンクロナイズド・トレモロの仕様に落ち着いた。
ナットにはSCHECTERで使用されていたブラスよりも滑りが良い ポリアセタールがチョイスされた。

市販品として「NA-TH-2」と本人の仕様に極めて近いという受注生産品「NA-TH」が発売されたが、本人は一貫して初期に製作されたプロトタ イプを使用し続けた。このメインのプロトタイプは市販バージョンと比べ、ヘッド形状が違う、サスティーンボリュームノブが追加され ている、木地着色塗装により色味が異なるなどの違いがある。

メインのプロトタイプの他にもう1本、木目がとても美しいプロトタイプが後に製作されt、雑誌等でのフォトセッションやライブのサブギターとして使用していた。こちらはボディーシェイプやヘッドシェイプなどは市販品と同じである。このギターは木地の段階でS-S-HのPUザグリが施された状態であったものをS-S-H-Sに変更し、製作された。


NA-TH-3の完成後はメインギターの座を譲ることになるが、その後も初期サスティナーの効きの良さを活かし、レコーディングで使用されることが多々あった様である。
Features
市販バージョンよりもスリムな形状のヘッドシェイプ。
ストリングポストの高さを低音側から高音弦側に向けて段階的に低くし、各弦毎のテンションバランスを改善したペグ。このペグは「TOM ANDERSON GUITAR WORKS」の代表であるトム・アンダーソン氏がSCHECTER USAに在籍時に考案した。テンションピンを廃止する事に成功し、ナットとペグの間をピッキングする、あの技にも一役買っている。SCHECTER同様、GOTOH製である。ナットはSCHECTERのブラス製に対し、摩擦係数を抑える事でチューニングを安定させたポリアセタール製。
当時の技術ではサスティナーを駆動させるためにハムバッカーが必要であった。シングルコイルPUでサスティナーが上手く駆動しなかった為、採用されたのがこのS-H-SのPUレイアウトだ。ハムバッカーはサスティナーと相性の良いSeymour Duncan のJB。シングルコイルPUはこのギターの開発時に色々なPUを試したが最終的には1st SCHECTERに搭載されていた最初期型のモンスタートーンが搭載された様だ。PU側面には最初期型の特徴の銅箔が確認できる。
ブリッジサドルはサドルがブロックタイプではなく、プレスタイプなのがこのプロトタイプの特徴の一つだ。
市販バージョンではボリュームとローカットトーンの2ノブだが、こちらは実験的にサスティーンボリュームを追加した3ノブ仕様である。実際には細かな調整等は行わず絶えずフルにして使用していた様である。

プロトタイプの為、ネックジョイントヒールやコントロールプレートなどの形状が市販仕様と異なる。コントロールプレートにはサスティナーの基盤の半固定抵抗を可変できるように穴が開けられている。
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